かつて女の子だった人たちへ
雪奈は都内の生まれだが、実家は郊外ののどかな地域である。高校と大学は都心部まで通い、平行して芸能事務所に所属、女優を目指して活動してきた。
何度かタレントのような仕事はきたが、名前すらろくに出ない仕事ばかり。大勢の若い女の子のうちのひとりという扱いは雪奈の心をすり減らした。念願の役者の仕事は通行人程度の端役が数回。頑張って方々にアピールしたが、それ以上仕事は来なかった。
容姿に自信があったからこそショックだった。運がない、際立った個性もない、コネもない。
仕事で一緒だった似た境遇の女の子に『業界関係者と知り合いになれるよ』と誘われ、ラウンジ嬢の仕事を始めたのは21歳の頃。
場所が六本木だったこともあり、確かに業界関係者は頻繁に訪れた。
全体的に、客層は高収入の大人の男性が多い。穏やかなおじ様や、ギラギラした実業家、簡単に会えないようなハイスペックな年上男性と知り合え、食事などをごちそうしてもらえるのは魅力的だった。
女優としてはまったく仕事がこなかった雪奈も、ここでは大人気だった。上品で控えめで守ってあげたくなる、とリッチな年上の男性たちはちやほやしてくれる。そんなこともあり、雪奈は芽の出ない女優業より、ラウンジ嬢の仕事にハマっていった。
大学を卒業するまでに女優の仕事を安定させると両親には約束していたが、結局両親には『大きな仕事が決まりそう』と嘘をついて卒業後もラウンジ嬢を続けた。
しかし、毎晩終電で帰宅し、男性からのプレゼントが部屋にいくつもあれば両親も怪しみだす。結局バレて辞めさせられ、流れで芸能事務所も退所したが、雪奈は構わなかった。
『結婚したい人がいるの』
ラウンジに通い、雪奈を熱心に口説いたのは迫田俊夫という十歳年上の男性だった。アパレル関係の会社を経営していて、羽振りがよく初婚。
両親は最初こそ驚いたものの、娘が落ち着いてくれるならと結婚を認めた。
何度かタレントのような仕事はきたが、名前すらろくに出ない仕事ばかり。大勢の若い女の子のうちのひとりという扱いは雪奈の心をすり減らした。念願の役者の仕事は通行人程度の端役が数回。頑張って方々にアピールしたが、それ以上仕事は来なかった。
容姿に自信があったからこそショックだった。運がない、際立った個性もない、コネもない。
仕事で一緒だった似た境遇の女の子に『業界関係者と知り合いになれるよ』と誘われ、ラウンジ嬢の仕事を始めたのは21歳の頃。
場所が六本木だったこともあり、確かに業界関係者は頻繁に訪れた。
全体的に、客層は高収入の大人の男性が多い。穏やかなおじ様や、ギラギラした実業家、簡単に会えないようなハイスペックな年上男性と知り合え、食事などをごちそうしてもらえるのは魅力的だった。
女優としてはまったく仕事がこなかった雪奈も、ここでは大人気だった。上品で控えめで守ってあげたくなる、とリッチな年上の男性たちはちやほやしてくれる。そんなこともあり、雪奈は芽の出ない女優業より、ラウンジ嬢の仕事にハマっていった。
大学を卒業するまでに女優の仕事を安定させると両親には約束していたが、結局両親には『大きな仕事が決まりそう』と嘘をついて卒業後もラウンジ嬢を続けた。
しかし、毎晩終電で帰宅し、男性からのプレゼントが部屋にいくつもあれば両親も怪しみだす。結局バレて辞めさせられ、流れで芸能事務所も退所したが、雪奈は構わなかった。
『結婚したい人がいるの』
ラウンジに通い、雪奈を熱心に口説いたのは迫田俊夫という十歳年上の男性だった。アパレル関係の会社を経営していて、羽振りがよく初婚。
両親は最初こそ驚いたものの、娘が落ち着いてくれるならと結婚を認めた。