かつて女の子だった人たちへ
帰り道、雪奈は満ち足りた気分だった。
色々な話を、気兼ねなく話せた。あの場所に集う人たちは、皆似た考え方をした人たち。クレマチスの言うところの大地のパワーを感じられる人たち。クレマチスの提唱する世界観が好きだからこそ、優しく穏やかで平等な空間が出来上がっていた。
ママ友とのお茶ではこんなふうにすっきりしない。マウントにならない範囲の子どもと夫の話をして、メンバーの誰も嫌な気持ちになっていないかと顔色を窺う。学校の先生や感じの悪いママの噂話で盛り上がる。

(今日会った人たちとの会話の方が楽しかった)

三十六歳にして新たな友達がたくさんできた。それはとても嬉しいことだった。
一方でクレマチスの言葉が頭をよぎる。それは会の前にふたりで話しているときに言われたことだ。

『ユキナさんのお話を聞くと、あなたの息子さんも大地のパワーに影響を受けやすいように思うの。優しく聡明で、試練に見舞われる体質なのかもしれない』

彼女は真剣な眼差しで言った。

『あなたが魂を磨き、大地のパワーを味方にして治癒の力を高めれば人生は変わるわ。あなたが息子さんを守ってあげられるし、導いてあげられるようになる』

雪奈は尋ねた。

『それは、私もクレマチスさんのような修行をすべきということですか?』
『あなたが“治癒者”に向いているのは間違いない。でもどういった順序で、あなたが目覚め、変わっていくのか私にもまだ視えないの。ゆっくり探っていきましょう』

結局、具体的にどんなことをすればいいのかは不明のままだ。しかし、雪奈が変化することで絆に降りかかる苦難を避けられるなら、これほどいいことはない。

(私が絆を守らなきゃ)

自分のような苦難は歩ませたくない。夢を諦めたり、現状を後悔するような人生は、絆にはふさわしくないのだ。

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