かつて女の子だった人たちへ
第5話
雪奈は配信活動に精を出し始めた。
週一回はフィンスタライブを行い、生活スタイルや食事、精神世界の話や瞑想の大切さを語った。オンラインサロンのメンバーには好評だったし、配信で映る雪奈の家や身の回りのものに惹かれる視聴者もちらほら出始めた。
高級住宅地に住み、同じような世帯収入の人たちと比べたらたいしたことがないと思っていた雪奈の生活は、一般家庭の人たちからすれば充分羨望に値するものだったらしい。フォロワーは少しずつ増えている。
クレマチスのブランディングしたスタイルがハマったようだ。
俊夫の二度目の浮気について、雪奈は詮索も追及もやめた。
割り切ることにしたのだ。彼はお金を運んでくるだけの人。表向き家族は続けるが、それは絆のため。夫として愛するのは無理だ。簡単に嘘をつく男を信じるのは心を卑しくする行為に他ならない。
万が一、離婚になってもいいように今までの証拠はすべて保存してあるし、ひっそり探偵にも依頼をしてある。
現時点では、金銭的にゆとりある暮らしをさせてくれる俊夫との婚姻関係は継続させておきたい。絆を何不自由なく育てたいし、配信でもウケているセレブな生活を続ける権利はあると思っている。
お互い様だ、と雪奈は考えるようになった。浮気を知らん顔してあげる代わりに、こちらも自由にさせてもらおう。義母の言うところの『大きく構える』とはこういった態度でいいのではないだろうか。