かつて女の子だった人たちへ
帰宅すると絆はまた眠っていた。シッターが言うにはずっと眠そうだったとのことだ。
精神的な疲労のせいだろうか。絆は今朝も起きてこられなかったし、今もぐっすり眠っている。昼食は起きたら何か美味しいものを作ってあげよう。
この家は安全だ。義母は今日やってこないし、俊夫は入院。雪奈と絆が籠城しても、誰も傷つけにやってこない。

とはいえ、雪奈のメンタルは限界寸前だった。

「どうしてこうなるの?」

大地の治癒者としてパワーの伝授を受け、使命を持って活動してきた。魂のステージをあげ、試練に打ち勝てるように。自衛するパワーを身に着けられるように。

「試練が多すぎて、苦しい」

それが自分の運命なのだろうか。クレマチスならそう言うだろう。しかし、その試練につぶれそうになっている。
苦しい気持ちを吐露したくて、クレマチスにメッセージを送った。少し話したいというと、彼女の方からすぐに連絡がきた。
ビデオ通話で顔を見ながら、最近起こったことを順を追って話した。ママ友の無理解と陰口、息子が経験したいじめ、夫の突然の病と不倫の再発、義母の無神経な言葉……。

「私は魂のステージをあげるために奉仕してきたつもりです。だけど、降りかかる試練の多さに疲れてしまいました」
「あなたは特別大地に愛されているから。羨ましいくらいよ」

クレマチスは何度も頷き、そう言う。羨ましがられても仕方ない。雪奈は沈痛な面持ちで続ける。

「何か私に至らないことがあるのでしょうか」
「そんなふうに思っちゃ駄目。前向きでいることで、いい運命のめぐりあわせがやってくるのよ。そういう法則なの」

瞑想すらできないくらい心が乱れて疲れているのに、前向きになどなれない。
雪奈の表情の暗さにクレマチスは少し考えるように黙った。それから、慈愛に満ちた瞳で見つめてきた。

「ユキナさん、私はあなたをパートナーだと思っているの。だから、あなたの苦しみは私の苦しみ。あなたを救いたいし、力になりたい。もっと大地のパワーを高め合いたい」

クレマチスは熱心に言った。

「ねえ、私たち、新しい夢を追わない?」
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