かつて女の子だった人たちへ
俊夫は予定通り二週間で退院してきた。
薬は飲み続けなければならないし、定期的な通院も欠かせない。夫婦で病院の栄養指導を受け、食事管理もすることとなった。
朝食と夕食は極力家で食べる、昼食は量と脂質に気を付けて野菜を摂るなど、雪奈の仕事は増えた。

愛する夫のためと思えば頑張れるだろう。しかし、俊夫は雪奈を裏切り続けている。
退院してしばらくは在宅勤務の俊夫だったが、スマホやPCをだらだら見ていることが多い。おそらく、仕事以外に女性と連絡を取り合うのにも使っているだろう。

雪奈が俊夫の管理をするのは、義母に対する意地もあった。食事も環境も完璧にやってやろう。こちらが提供するものを俊夫が受け取らないなら、あとはもう本人の責任だ。

絆は変わらず小学校に通っている。週に何度か担任の女性教師とは電話するが、絆はクラスで孤立気味だそうだ。
最初にトラブルを起こした元からの友達とは距離を置き、かといって他の子たちとも仲良く遊んだりはしないという。休み時間はずっと席で読書をしているか、図書室にいるそうだ。他の子にも何か言われるのが怖いのかもしれない。

絆はそういった学校での寂しさや苦痛を雪奈には言わなかった。学校への行き渋りなども覚悟していたのに、絆は毎日学校に行く。誰とも遊ばず、会話せず、授業を受けて帰ってくる。
そんな息子の孤独を思うと雪奈は悲しかった。

絆を傷つけ、排除しようとした同級生とその母親たちに憎悪が湧く。しかし、闇雲にアクションは起こさない。穏便に済ませた方が得なことも多いのだ。今は我慢のときだと自分に言い聞かせる。

俊夫の病気を理由に個人の配信は休んでいた。
クレマチスの配信は時間があるときにアーカイブで追っていたが、今月の浄化ミーティングは休ませてもらった。
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