かつて女の子だった人たちへ
「そうね。たまにだものね」

しかし『間が悪い』とはこういうことを言うのだろう。俊夫と絆が選んだピザが自宅に到着したタイミングで、現れたのは義母だ。またアポなしの訪問なのは言うまでもないが、リビングに入ってくるなりダイニングテーブルに並んだピザを見つけて、目を三角にして怒り出した。

「どうなってるの、雪奈さん!」

義母はピザを指さして、声を張り上げた。

「俊夫が狭心症を患った理由が不摂生なのは医者に説明されたでしょう? もとはと言えば、雪奈さんが悪いのよ! あなたが俊夫の食事の管理を真剣にやっていれば防げたことなのに!」

義母の言葉に雪奈は思わず「は?」と声に出してしまった。しかし、義母はヒートアップし、雪奈の反応など見ていない。

「子どももろくに産めないばかりか、私の可愛いひとり息子を病気にして! こんなにどうしようもない嫁とは思わなかったわ!」

突然の暴言に雪奈は自失状態に陥った。怒りと衝撃で言葉が出てこない。
この人は何を言っているのだろう。すべてが雪奈のせいだというのだろうか。


< 229 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop