良子
 いやいや、ホテルでの出張マッサージは本当に緊張する。 客室に入れば1対1だから。
面白い人も居る。 静かな人も居る。
眠っている人も居る。 その中で40分 1時間と時計を気にしながらの仕事。
 高山からは「お前は老人ホームなんかでやってるんだからどうせ街中じゃ使い物にならない。 お前なんて生きてるだけ無駄なんだよ。」 毎日毎晩、そうやって彼は毒を吐き続けるんだ。
ぼくが東洋鍼医学会を紹介しなかったら今の彼は無いのに、、、。
 彼は感謝ということを知らない。 自分がその人より上に立ってしまえばそれでいいのである。
 何か有ると所をかまわず時間をかまわず辺りもかまわず気が済むまで怒鳴り続けるから堪ったものではない。
 食堂に入っている時も、バスに乗っている時も、それはかまわずにやってくる。
胸ポケットに携帯を入れているだけで非常識打の仕事人じゃないだの延々と怒鳴り続けるから疲れてしまう。
 どうやったらそこまで非常識に怒鳴り続けられるのか知りたいくらいだ。 しかも反論は絶対に許されない。
反論しようものなら「今すぐ世話した金を全部返して九州へ帰ってしまえ!」と容赦なく怒鳴りつけるのだ。
 でもぼくは家に帰ると勤行をしながら「あいつと以前のように仲良くさせてくれ。」と祈り続けたのであった。
ぼくと高山は学会員である。 当時、ぼくは地区副リーダー、彼は何も無し。
役職が有るからいいわけでもなく、無いから悪いわけでもない。 それが自然な付き合いだ。
でもね、そこにまで噛み付いてくるんだ 高山は。 終わったなと思った。
 いつだったか、知り合いのブロック長が「車に乗せていくよ。」って言ってきたことが有る。 「会合に参加するんだったら車も空いてるから乗せていくよ。」ってね。
それを高山に伝えたら彼は激怒して言い放ってきた。 「勝手にしやがれ。」
 確かに彼と二人で行こうかって話もしてたんだ。 その気持ちも分からんではない。
 でもせっかくの誘いを断る理由も無いと思った。

 でもね、彼の存在をうざいと思うようになったのはそれだけじゃないんだ。 ぼくもマッサージ師として開業を考えていた。
「それだったらマッサージ師会の会長に話してみろ。 いろいろと教えてくれるだろうから。」 高山は得意げにそう言うのである。
ところが、、、。 いざ話を聞いてみると。
「高山君を連れて来なさい。 彼の話しだったら聞いてあげるから。」と言うのである。 (おかしいな。)と思って高山に話すと、、、。
「お前がどれだけ信用されてないかこれで分かっただろう? 俺の言うとおりにしろ。」とこれまた得意そうに言うのである。
 後で伝わってきた話だが、彼はマッサージ師会の先輩たちに「北村という男は二枚舌で嘘吐きで信用できない男だから相手にするな。」と吹き込んでいたのである。
いったいどっちが信用できない男なのか、、、? 彼はそれほどに惨めな人間に成り下がっていたのだ。
その本性は修羅であり、平気で嘘を吐く卑怯者だった。
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

私 ホームヘルパーです。

総文字数/264,708

恋愛(オフィスラブ)85ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 考えてみるとホームヘルパーは勇気と根性が試される仕事。 赤の他人の家で家事全般を任される。  相手は親戚でも友人でも知人でも知り合いでもない。 真っ赤な他人の世話をするホームヘルパーとは覚悟が無ければ出来ない仕事。 何も知らない他人と向き合う危険も伴う仕事。 それにどうやって体当たりで挑むのか?
浅黄色の恋物語

総文字数/123,631

恋愛(純愛)127ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 高齢になると恋に憶病になる。 そしておっくうになる。 それでいいんだろうか?  人って一人では生きられない寂しがりな生き物。  どんなに強がっていたって心の何処かに寂しさを漂わせているもの。 そんな二人が出会ってしまったら、、、。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop