財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
崇さんが赤くなってわめいた。私は見ていられなくて、そっと部屋を出た。
一体何をしに来てるんだろう。いつもこうやって最初はふざけてふたりで楽しそうに話している。本当に親しいんだな、気が合うんだなと見ていて思う。
でも、崇さんの専属秘書の辰巳さんが言っていたが、日傘専務と総帥は崇さんがあまりに専務に懐いているので、あまり良く思われていないかもしれないと心配していた。
総帥と崇さんは親子とはいえ、絶対君主と部下でもある。長男の彼を総帥は厳しく育ててきたということもあり、こういう専務とのやりとりのようなものは見たこともない。
だからこそ、専務に懐くんじゃないかなと個人的には見ていて思ったりもする。御曹司としての重圧や仕事の悩みを聞いてくれる父親くらいの年の信頼出来る人が彼にとってはきっと日傘専務に違いない。
廊下を歩いていたら、声をかけられた。振り向くと伸吾がいた。
「菜々。お前、今日もどうせ残業なんだろ?」
「うん……多分、八時はすぎると思う」