財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
いつも私をいじって楽しんでいた彼は、実は他の人にはほとんど笑わない。ポーカーフェイスが有名な御曹司で、気持ちを表情から悟られないよう気をつけていると言っていた。
専務の部屋にコーヒーを下げるため入った。すると、少し座りなさいと声をかけられた。
「香月さん。おそらく、彼がアメリカへ行くタイミングで私への総帥からの圧力が強まるかもしれない。それは予測済みだ。もし、私がこの財閥を追われることとなったとしてもそれは想定内。君まで巻き込まれる必要はないからね」
「……どういう意味ですか?おやめになるようなことがあるかもしれないと言うことですか?」
私はびっくりして中腰になった。
「まあ、落ち着いて。君も知っての通り、僕は崇君の仕事のことやいろいろな相談にものってきた。彼の悩みはお父上の周りを取り囲む親族の人達の権力争いなんだよ」
そして……崇さんの考えている将来像について、私に内緒だよといいながら初めて教えてくれた。
「血族経営をできるだけ脱したいとずっと崇君は主張しているけど、すぐには難しいだろう。僕の考えを実践するのはあと一年後、彼が本当に上に立ってからだ。今は彼のお父上とその周辺がこの榊原を支配しているからね。将来を見据えて僕は彼に種まきをするだけだよ。崇君が干からびないように君が水をあげてね」