財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

 三人とも揃いも揃って、いい年だがまだ結婚していなかった。それには理由がそれぞれある。

 玖生は結婚を避けていた。俺は気になる人がいる。鷹也は……遊んでいる。

 清家は結婚してから継承するというのが代々の習わしで、玖生はそれに縛られて大変そうだった。

 ところがだ、最近とても幸せそうだ。鷹也に聞いたら、どうやら好きな女性を見つけたらしい。

「玖生、早く紹介しろよ。どうして鷹也は知っていて俺は知らないんだよ」

 玖生はウイスキーを飲みながら、知らん顔をしている。

「……おい、なんで無視する?」

 鷹也が笑って答えた。

「まあまあ、とにかくね、その織原さんを捕獲するために色々努力をしているわけだよ。お前とは違ってね」

「その通りだ。俺は由花の仕事を大切にしつつ、俺に堕ちてくるように、おじいさまと戦いながら頑張っている最中だ。お前なんかに会わせている暇はない」

「……なんだかんだ言って、俺に取られたくないんだろ?」
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