憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
「まったく、余計なことを。例え和登が私の会社を継ぎたいと言ったとしても、何の感情もなく継がれても嬉しくないよ。後継者に選ぶなら、社長は一番努力できて、誰よりも会社思いで、誰よりも人情に溢れている人を選ぶね。和登は昔から……特に人に関心を示していない。まあ、患者は別だろうがね。だから、キミのせいでも、キミのお爺さんのせいでもないよ」
お義父さんの言葉にしこりが取れたように、心が軽くなる。
「今後とも和登をよろしくお願いします」
お義父さんはお義母さんの頭を左手で押しながら、頭を一緒に深く下げた。
今から言うことを聞いてほしくて、二人に頭を上げるように諭す。
「……お義父さん、お義母さん、和登さんと一緒にいることを赦してくださってありがとうございます。ですが、一点だけお願いがあります」
「お願い? 私達にできることならなんでもするよ」
「私に何か合併症や後遺症が残ったら、その時は和登さんと離婚させてください。私がそんな状態になってまで側にいてほしくないんです。和登さんには笑っていてほしいんです。お願いします」
私のお願いにお義父さんもお義母さんも言葉が出なかったようで、最終的に『わかった』と納得してくれた。
和登さんにはずっと笑っていてほしい。