憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


 いつか二人で心の底から笑い合える日がきてほしい。

 私のお父さんとお母さんは和登さんが私の病室を出て、入れ替わりで入ってきた。担当の看護師と一緒に手術室の前まで来てくれた。「頑張ってね」と、不安気な顔で送り出してくれている。

 手術室に入ると手術台の上に移動した。中には麻酔科医の柳先生と他の麻酔科医と思われる先生達が待機してくれていた。人生初めての手術台。とても固いし寝心地もいいわけではなかった。

「はーい、亜矢ちゃん、麻酔かけていくよー。点滴から麻酔薬を注入していくから、酸素マスクをするねー」

「はい。よろしくお願いします」

 柳先生が慣れた手つきで私の口に酸素マスクを被せた。次第に私の意識は遠のいていった。

 手術中、和登さんと一緒にこれまで回ったベリが丘の思い出が夢として出てきた。たくさん美味しいものを食べていろんなところへ出かけた。けれと、行けていないところもある。

 ベリが丘オーベルジュ。

 前に会員になっているから、今度行こうと行ってくれていたのに行けていない。

 食事が美味しいのはもちろん、庭園がとてもロマンチック溢れる場所だと教えてくれた。

 ずっと一緒にいたい。本当は私に何があっても離さないでほしい。

 夢の中ではこんなに素直に感情を出せるのに、現実は綺麗事ばかりで本心を晒すことができない。


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