世界で1番幸せな私~イケメン御曹司の一途で情熱的な溺愛に包まれて~
after story ~涼平の幸せ~
プールサイドから子ども達に声をかける。
その声に応えようとして、必死に頑張る姿を見ていると、自分の子どもの頃を思い出す。


いつかは水泳のオリンピック選手になりたいと……
あの頃は本気で考えていた。
だけど、そんな夢が簡単に叶うはずもなく、気づいたら、あっけなく挫折していた。


「智(さとし)、いい感じだよ。タイムも良かった。この調子で頑張れ」


「はい! 涼平先生」


「良い返事だな。智ならきっと良い選手になれるから、しっかり練習していこう」


「あの、涼平先生……」


「どうした?」


中学2年の男子がこんな不安な顔をしていたら、親のような気持ちで心配になる。


「僕はオリンピック選手になりたいです。だけど……最近、好きな女の子ができて、集中できないっていうか」


まさかの告白にドキッとした。


「そ、そっか……。智は優しいから、好きな女の子もきっと良い子なんだろうな」


何を言えばいいか、一瞬迷った。


「はい、すごく」


「その子に好きだって言ったのか?」
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