可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~

 ルシアはそういって作業用ブーツを選びはじめる。
 
 ふと、ディスプレイされた美しい靴に目がとまった。プルシアンブルーの布に、青いビジューが縫い付けられている。町人が履くには珍しい、華奢なハイヒールである。金額も、この店の中では飛び抜けて高価だった。

 憧れるような目を向けるルシアに、カイルが声をかけた。

「気になるの?」

「っ、ううん! そんなことない!!」

 ルシアは思わず否定した。

 レモラはルシアがハイヒールを履くことを禁止した。背の高い彼女がヒール靴を履くと、レモラの背を超すからだ。

 だから、ルシアは一生履くことはないと諦めていた物だ。欲しいと言ってはいけない、思ってもいけない、そう自制をかけていた。

「だって、歩きにくいし、汚すし、似合わないし……」

 ルシアは買わない理由を並び立てる。
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