先輩!
「今日俺は帰り遅いけど1人で家に帰るなよ。虎太郎に頼んでるから送ってもらって。それから誰か来ても絶対開けるなよ」

「はい。わかりました」

「今日金曜だから風呂の日だけど、」

「楽しみに待ってます」


先輩が、返事の代わりに口づける。


「先輩。わたし今日仕事帰りに不動産屋に行こうと思って」

「は?」


頭上の声のトーンが低くなった。眉をひそめた険しい顔が私を見下ろす。


「今年に入って、ネットで物件探してたんです」

「あー、だろうなと思ってた」

「何軒か気になるのがあったので、内覧したくて」


先輩は表情を変えず、無言で見つめてくる。

< 222 / 371 >

この作品をシェア

pagetop