先輩!
外線の着信が鳴ったので、逆方向にある固定電話に手を伸ばすも、野口さんに負けてしまった。

上司に電話に出させるなんて申し訳ない。

すみません。と心の中で謝罪しながら野口さんを見ていると、受話器を耳に当てたまま、椅子をはねのける勢いで立ち上がった。


「久保ですか?間違いないですか?はい、久保翔です。間違いないです」


大声の野口さんが、真っ青になった。

部内が一瞬で静まり返り、不穏な空気に包まれる。

キーボードを叩く音も、話し声も一切聞こえない。


崩れるようにイスに座った野口さんが、さっきまでとは違い、声を潜めて電話の受け答えをする。


「はい、はい、」

ボールペンで何かをメモする。隣の席の部長をはじめ、野口さんの席の周りに徐々に人が集まった。


この上ない不安がこみあげてきて、バッグからスマホを取り出し先輩とのLIMEを開く。

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