先輩!
「タクシー大破したらしいんですよ。前も後ろもぐちゃぐちゃ。それでー...あのー...言いにくいんですけど、会社のタブレットとかスマホとか、全部ぶっ壊れたんですけど始末書ですかね。データはバックアップあるんで問題ないんですけど」

「なんの心配してんだ」

部長と野口さんが大声で笑う。2人も先輩が無事でほっとしたのがよくわかる。


そこに医師がやってきた。なにか説明でもあるのか、部長と野口さんを呼び、カーテンの外に出た。

「気を利かせろよ」と、号泣する虎太郎を連れて。


「虎太郎」

先輩が虎太郎を呼び止める。勢いよく振り向いた虎太郎を見て、先輩が笑い「痛って、」と顔を歪ませる。


「キモ、泣きすぎだろーが」

「かちょー...」

「芽衣を送ってくれてありがとな」


振り返った虎太郎が、大粒の涙を手の甲で拭って。


「課長との約束ですから」


胸を張った。
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