愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
清隆はその思考を一度振り払い、今は建設的な話をしようとわざと前向きになる言葉を口にする。
『いや、君が謝ることではないよ。君が雅の助けになってくれて本当によかった。ありがとう』
『いえ。私も姉のことは大切ですから』
ひとまず誠一郎のもとにいれば、ある程度は安全であろう。今いるこの家はすでに危険な場所になってしまっているし、どちらの実家も頼れない。
本当は今すぐにでも雅を迎えにいきたいが、ここは我慢のときだ。
『迷惑をかけて申し訳ないが、しばらくはそのまま雅を預かっていてくれないだろうか?』
『え、ですが――』
『鍵を取られたのなら、こちらに戻るのは危険だ。私もしばらくはホテルにでも泊まる。できるだけ早く新しい住居を用意して、母のことも片を付ける。だから、それまでは雅のことをお願いできないだろうか?』
『確かに……仰る通りですね。わかりました』
『ありがとう。恩に着るよ。ただ、雅が君のところにいることも、いずれは知られてしまうと思う。そちらのお父さまが事情を知っているならなおさら』
誠一郎のことは信頼しているが、身内に敵がいる以上、居場所が知れる可能性は高い。用心しすぎるくらい用心しておいたほうがいいだろう。
『そうですね。その可能性はあると思います』
『すまないが、雅が実家に連れ戻されることがないよう注意しておいてほしい。頼む』
『はい。もちろんです。私もあんな家に姉を帰したくはないですから』
『ありがとう。本当に恩に着る。雅のことは必ず迎えにいくから。それまでよろしく頼む』
清隆は見えないとわかってはいても、誠一郎へ感謝の気持ちを込めて深く頭を下げた。
『わかりました。姉にもこのことは話しておきますが、あとであなたからも姉に話してやってください。できれば明日にでも』
『もちろんだ。明日、必ず連絡するよ』
誠一郎との通話を終えると、清隆はこれからすべきことへ取りかかった。一日でも早く雅を迎えにいくために。
『いや、君が謝ることではないよ。君が雅の助けになってくれて本当によかった。ありがとう』
『いえ。私も姉のことは大切ですから』
ひとまず誠一郎のもとにいれば、ある程度は安全であろう。今いるこの家はすでに危険な場所になってしまっているし、どちらの実家も頼れない。
本当は今すぐにでも雅を迎えにいきたいが、ここは我慢のときだ。
『迷惑をかけて申し訳ないが、しばらくはそのまま雅を預かっていてくれないだろうか?』
『え、ですが――』
『鍵を取られたのなら、こちらに戻るのは危険だ。私もしばらくはホテルにでも泊まる。できるだけ早く新しい住居を用意して、母のことも片を付ける。だから、それまでは雅のことをお願いできないだろうか?』
『確かに……仰る通りですね。わかりました』
『ありがとう。恩に着るよ。ただ、雅が君のところにいることも、いずれは知られてしまうと思う。そちらのお父さまが事情を知っているならなおさら』
誠一郎のことは信頼しているが、身内に敵がいる以上、居場所が知れる可能性は高い。用心しすぎるくらい用心しておいたほうがいいだろう。
『そうですね。その可能性はあると思います』
『すまないが、雅が実家に連れ戻されることがないよう注意しておいてほしい。頼む』
『はい。もちろんです。私もあんな家に姉を帰したくはないですから』
『ありがとう。本当に恩に着る。雅のことは必ず迎えにいくから。それまでよろしく頼む』
清隆は見えないとわかってはいても、誠一郎へ感謝の気持ちを込めて深く頭を下げた。
『わかりました。姉にもこのことは話しておきますが、あとであなたからも姉に話してやってください。できれば明日にでも』
『もちろんだ。明日、必ず連絡するよ』
誠一郎との通話を終えると、清隆はこれからすべきことへ取りかかった。一日でも早く雅を迎えにいくために。