愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
結婚相手である清隆との対面を果たしたのは、その結婚を知らされてから二ヶ月後のことだった。両家の顔合わせとして、結婚の当事者二人の他、それぞれの両親が一堂に会した。
雅の目の前には結婚相手である清隆。そして、その横には彼の両親が並んで座っている。
清隆の両親はさすがは大企業の人間なだけあって、身なりから所作の一つに至るまで品があって美しい。格の違いを見せつけられているような気になる。
それでも雅も雅の両親もここに至るまでにそれなりの社交はこなしてきているから、さすがに狼狽えるようなことはない。堂々と彼らの前に座していた。
初めに形式的な挨拶だけ済ませると、双方の父を中心に会話が進んでいく。皆、その顔にはきれいな笑みを浮かべているが、清隆一人だけはほんの僅かもその口角を上げたりしなかった。ただ淡々と必要なことを述べるのみ。雅のこともちらと見ただけで、あとは少しも気にしていない。
上背があり、愛想笑いすらしないその男を、雅はとにかく恐ろしく感じていた。圧倒的にあちらが優位なのだと示すような彼の態度に、雅は今にもすくみ上ってしまいそうである。
実際、あちらが優位な立場であることは間違いないだろう。きっとこの結婚がなくなったところで、向こうは痛くもかゆくもないに違いない。清隆は雅よりも三つ年上ではあるが、まだ二十七歳。きっと結婚に焦ってもいないはずだ。威圧感のある態度はいただけないが、いい肩書きがあって、容姿端麗、今後の生活も安泰とくれば、引く手あまたに違いない。
どう考えたって、雅はこの人にもらってもらう立場なのだ。絶対に彼の機嫌を損ねてはならない。これまで、雅はただ父にだけ従ってきたが、これからは目の前のこの男に大人しく従っていかねばならないということだ。
それを考えれば、雅はもう隅から隅まで恐怖で埋め尽くされそうな心地になるが、母や誠一郎のことを思えばなんとか耐えられた。自分がこの男に嫁ぐことで、母が平穏に暮らしていけるならば、誠一郎の将来が明るくなるのであればそれでいい。それが嘘偽りのない雅の思いだ。
雅の目の前には結婚相手である清隆。そして、その横には彼の両親が並んで座っている。
清隆の両親はさすがは大企業の人間なだけあって、身なりから所作の一つに至るまで品があって美しい。格の違いを見せつけられているような気になる。
それでも雅も雅の両親もここに至るまでにそれなりの社交はこなしてきているから、さすがに狼狽えるようなことはない。堂々と彼らの前に座していた。
初めに形式的な挨拶だけ済ませると、双方の父を中心に会話が進んでいく。皆、その顔にはきれいな笑みを浮かべているが、清隆一人だけはほんの僅かもその口角を上げたりしなかった。ただ淡々と必要なことを述べるのみ。雅のこともちらと見ただけで、あとは少しも気にしていない。
上背があり、愛想笑いすらしないその男を、雅はとにかく恐ろしく感じていた。圧倒的にあちらが優位なのだと示すような彼の態度に、雅は今にもすくみ上ってしまいそうである。
実際、あちらが優位な立場であることは間違いないだろう。きっとこの結婚がなくなったところで、向こうは痛くもかゆくもないに違いない。清隆は雅よりも三つ年上ではあるが、まだ二十七歳。きっと結婚に焦ってもいないはずだ。威圧感のある態度はいただけないが、いい肩書きがあって、容姿端麗、今後の生活も安泰とくれば、引く手あまたに違いない。
どう考えたって、雅はこの人にもらってもらう立場なのだ。絶対に彼の機嫌を損ねてはならない。これまで、雅はただ父にだけ従ってきたが、これからは目の前のこの男に大人しく従っていかねばならないということだ。
それを考えれば、雅はもう隅から隅まで恐怖で埋め尽くされそうな心地になるが、母や誠一郎のことを思えばなんとか耐えられた。自分がこの男に嫁ぐことで、母が平穏に暮らしていけるならば、誠一郎の将来が明るくなるのであればそれでいい。それが嘘偽りのない雅の思いだ。