一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 卒業式。勿論成哉が好きな女子は彼の第2ボタンをねだりに来た。そこには愛海がびびっていたあのカーストトップの1軍女子達の姿もいた。

「藤堂くん、第2ボタンちょうだい!」
「やだ、私がもらうの!!」
「はあ、なんであんたなのよ?!」

 険悪な空気が流れる中、それを止めたのは成哉の母親だった。

「この学ラン高校でも使うから大事にしたいのよね。だからごめんなさいね?」

 成哉の母親にそう言われてしまえば彼女達は黙って引き下がるしかない。すみませんでした……と小声で謝りながら女子達は成哉の第2ボタンを諦めていったのだった。
 卒業祝いに訪れたのは、かつて成哉が幼稚園に通っていた頃、退院した時に立ち寄ったベリが丘の街にあるレストランだ。

「やっぱり人多いわねえ」
「そうだよね」
「ハンバーグ食べようかしら」

 2人は窓際のテーブル席に座ると、そろってデミグラスソースのかかったチーズハンバーグのセットを注文した。窓からは建設が進むツインタワーがはっきりと見える。

「ここ、タワーが出来るのよね?」
「そうなんだ」
「テレビでやってたのよ。成哉も大人になったら来たら?」
「……大人になったらね」

 ハンバーグを頂いた後、成哉の母親が運転するワンボックスカーはベリが丘の総合病院へと向かっていく。成哉が中学を卒業し、高校へと入学するタイミングで父親のベリが丘の総合病院での勤務が決まっていたからだ。
< 110 / 135 >

この作品をシェア

pagetop