一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 私は2人にBerrys&Moonの譲渡先が私自身である事を伝えたのだった。

「えっ、そうなんですか?」
「そういや愛海さん病院のカフェで働いてるって聞いた事ありましたけど、もしかして独立するんですか?」
「えっあっはい。自分のお店を持つのが幼い頃からの夢だったので……」
(いざ言ってみたらなんか恥ずかしいなこれ)

 そう恥ずかしさを感じていると、松崎さんがちょっといいですか。と口を開いてきた。

「それ、モチベーションにしましょうよ」
「え?」
「目標がある事は良い事です。それ目標にしてリハビリ頑張りましょうよ!」

 松崎さんの口調には、熱さがありったけ籠もっていた。

「私もそう思います」
「田中さん?」
「私達朝食からずっと一緒にいる理由、分かりますか?」
「えっと……リハビリの他にって事ですよね?」

 リハビリの他……何があるだろうか。

「じゃあヒントです。今の愛海さんのメンタルに関係しています」
「メンタル?」

 私のメンタルを掘り下げるようにして振り返ってみる。確かに言われてみれば手術後からずっと成哉やこの2人がいて話をしたりリハビリに取り組んで来たからか、ネガティブに考え込む事はそこまで無かったような。
 こんな怪我をすれば、私の性格的にもグズグズ落ち込んでそうなものなのに、そう言った思考にはあまり至っていなかったのだった。
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