彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
「その頃の私は、考えが浅はかだったと反省してるわ」

季織先生が軽く息を吐き、苦笑いする。

「突然どうしたのよ。私は反省ばかりの人生だけど、お姉様は何も反省することなんてないでしょう?」

「いいえ、何故、お父様やお祖父様が惜しみなくお金を使うのか、私は理解できなかったもの」

「そういうことね。稼いだらまず社員に還元。そして、手元にあるお金は使って経済を回す。経済が回れば人の暮らしが豊かになる。人が豊かになれば国も豊かになり、犯罪も減る」

「そう、私はそのことを理解するのに時間がかかった。でも、沙織、あなたはずっとわかっていたのよね。それが高椿の使命であることも。頭が下がるわ。でも、私は未だ豪快な出費はできない」

「お姉様はそれでいいのよ。そんなお姉様だから、お義兄様は好きになったんじゃないの?」

「そう?」

「えぇ」

「沙織、お父様もお兄様も、そしてお祖父様も、あなたの突出した経営者としての能力に感心しているわよ」

「褒められちゃった、うふふっ。……あらっ⁉︎ そうそう!私ったら、美音ちゃんに紅茶を飲んで欲しくて帰ってきたんだったわ」
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