彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
私の話を食い入るように聞いていた沙織さんは、目を輝かせ、私の手を握りしめた。

「ねぇ、美音ちゃん、これはもう運命だと思うの」

「え?」
 
「だって、美音ちゃんは私の大好きな矢吹さんの娘さんで、その娘さんを俊佑が助けて、今度は困っていた私を美音ちゃんが助けてくれる。そして俊佑のお嫁さんになって私の妹になる。あぁ、もう、ホント、出逢うべくして出逢ったとしか言いようがないわ」

「あ、あのぅ、途中までは現実ですが、後半は……」

「そうだったのねぇ、俊佑と運命の出会いを果たしていたなんてねぇ……」

ダメだ。多分話を聞いていない。

「ねぇ、美音ちゃん」

ふわりとしていた沙織さんの表情が一変し、真剣な面持ちで私を見つめた。

「聞いて欲しいことがあるの」

「はい、なんでしょうか?」

「私には兄がいるって言ったでしょう。健太郎(けんたろう)っていうんだけど、高椿総合商社で専務を勤めていて高椿の後継者。生まれた時から帝王学を叩き込まれきたの。俊佑もグループを支えていく人生のレールが敷かれていて、彼もまた、兄と同じようにそのレールの上を進んでいたわ。母が亡くなるまでは」

「えっ!お母様は亡くなられていたのですか?」

「えぇ」

私は息を呑み、沙織さんの話に耳を傾けた。
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