彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
アメリカに渡り3年が経った。夏は終わりを迎えようとしているのに、太陽は燦々と照りつけている。
その日は朝から騒がしかった。自宅マンション近くで何やら撮影が行われているらしい。
俺は病院近くに住んでいる。すぐ側には美術館があるのだが、どうやら美術館の正面階段が撮影に使われているようだった。

休日の俺は、部屋でコーヒーを飲みながら、心臓疾患に関する論文に目を通していた。
術式についてのページに目が留まり集中していると、テーブルの上に置いてあったスマホが震えているのに気がついた。
着信は同僚のカルロだ。

「ハロー」

「俊佑今どこにいる?」

「家だけど」

「だったらすぐに来てくれ」

「は?」

「美術館で撮影やってるの知ってるか?」

「あぁ」

「体調不良者が出た。おそらく熱中症だ。応急処置はしたが、患者が日本人なんだ。国の違う俺よりも同じ日本人の方が安心するだろ?」

「まぁ確かに」 

「じゃあ待ってるから早く来てくれ。美術館の中にいる」

「わかった」

俺は、数枚のビニールに分けたありったけの氷と、スポーツドリンクを抱え美術館まで急いだ。
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