彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
「カルロ!」

「俊佑!」

カルロの目の前には横たわる女性の姿がある。
関係者だろうか、数人が彼女を囲み、気遣わしげな表情を浮かべていた。

「意識は?」

「かろうじてある」

「氷だ。とにかく体を冷やそう」

「そうだな」

身体を冷やしながら、俺は彼女に呼びかけた。

「私は医師です。わかりますか?」

彼女がゆっくりと瞼を持ち上げる。

「先生……」

「めまいや吐き気はありますか?」

「今は大丈夫です」

「これ、飲めそうですか?」

俺はスポーツドリンクのペットボトルを彼女に見せた。

「たぶん……」

「身体、起こせそうですか?」

「はい……」

俺とカルロは彼女の身体を支えながら起き上がらせ、ドリンクを口に含ませた。

「おそらく熱中症と思われます。症状が悪化する恐れもありますので、可能であれば病院に行くことをおすすめします」

高額な医療費が求められるたろうが、日本で何かしらの保険には入っているだろう。

「行きます!」

それまで傍で見守っていた30代くらいの女性が唐突に口を開いた。

「私は彼女のマネージャーです。先生、病院には一緒に行ってもらえますか?」

「もちろんです。ですが高額な医療費になると想定されます」

「かまいません!保険にも入っています。それに、彼女は廣藤自動車の令嬢です。これ以上何かあれば私は…… とにかく、病院に行きます」

「わかりました」
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