彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
「私の想像だけと、明日、あなたを見つけたら必ず何かしらアクションを起こすでしょうね。でもそれは、あなたが一人でいたらの話。でも、隣に美音ちゃんがいたらどうかしらね。うふっ」

「その笑い怖すぎる」

「ねぇ、美音ちゃんは言っていたんでしょう?助けてくれた人に恩返ししたいって」

「姉さんはそう言っていたけどね」

「もうこの際恩を返してもらっちゃいましょうよ。俊佑、ミッションよ」

また何かとんでもないことを企んでいるに違いない。
いったい何をする気なのか。

「ねぇ、お母様が亡くなった時、矢吹さんのピアノを聴いていたでしょう。覚えてる?」

「もちろん」

「なんと、その矢吹さんの娘さんだったのよ、美音ちゃん」

「えっ、そうなのか?」

俺の脳裏には忘れるはずもない当時の記憶がすぐさま浮かび上がった。
あの時のピアノ演奏を聴いたことがきっかけでピアノを始めたのではないかと思っていたが、まさか、ピアニストが母親だったとは……
彼女があの場所にいたのは、母親の演奏を聴くためだったのか……

「私、矢吹さんの姿を見なくなってから、ずっと会いたいって思っていたの。会って直接お礼を言いたかった。そうしたら、私の目の前に美音ちゃんが現れた。美音ちゃんから矢吹さんが世界中を飛び回っているって聞いて、必ずどこかの事務所とエージェント契約を結んでいるはずだって、片っ端からそれらしい事務所をあたったのよ」

「見つかったのか?」

「えぇ、明日、矢吹さんをパーティーに呼んじゃった」

「呼んだ⁉︎」
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