彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
「あぁそうだ。兄さんから伝言を頼まれていたんだ」

「伝言?」

「うどん、教えてくれてありがとう。ちゃんと食べてくれたよ、だって」

「うわぁ、良かった」

「俺も食べたい」

「今から行きますか?」

「今日、やってるのか?」

「多分やってます。店休日は年に数回しかないんです」

「じゃあ行ってみよう」

空港を出てそのままうどん屋さんに向かった。
運転する彼の横顔にうっとりしながらも、しっかりお店の看板メニューである釜揚げうどんのプレゼンはさせてもらった。

運ばれてきた釜揚げうどんを美しい所作で口に運ぶ彼を見ていると、高級麺所にでもいるような感覚に陥ってしまうのは、やはりダダ漏れの品の良さによるものなのだろう。

「これが、桃園家の味なんだな」

「はい」

「美味いな。義姉さんが食べれたっていうのも納得だ」

「本当に良かったです」

「俺、嬉しいよ。俺の知らない美音が段々減っていく。これからは俺しか知らない美音が増えていく。そうだろう?」

「じゃあ、これから、私しか知らない俊佑さんが増えていくってことですね」

「おぉ、それも嬉しいな。なぁ、美音」

「はい」

「今日、一日俺に付き合ってくれないか?」

「はい、喜んで」

「よし!ここを出たら行きたいところがある」

「わかりました」
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