恋神様に願いを込めて
「早くー!K高の男子待たせてるんだからー!」


「あ、はーい」



慌てて行こうとすると、ポニーテールの髪の毛をぐいっと引っ張られた。



「いた…っ、ちょ晃、なにす…」


「…K高の男子?」


「は?あ、うん。合コンだって。私の理想の人も見つかっちゃうかもね、なんて。じゃーね、ちゃんと働きなさいよ」



晃の手を振り払って慌ててクラスメイトについていく。


部屋には既に男子軍が揃っていて、順番に自己紹介が始まっていった。



萩原(はぎわら)美羽です!理想が高くてまだ一度も恋をしたことがないので恋を探しにきました!」


「え、初恋もまだなのー!?そんなに高いの、理想?」


「えっと、高身長でサラサラストレートで…勉強も運動もできて優しい人、かな」



本当はまだまだあったけど、初対面でこんなこと言って引かれたくもないから三分の一程度で留めておく。



「え、それってまんまレンのことじゃん!」


「あ、たしかに!ほら、レン、美羽ちゃんの隣行けよ!」



友達に押されて隣に来た男子が、困ったように微笑んだ。
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