Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
シンプルな言葉に込められた重い意味が伝わってきて、ジンとしちゃった。
彼もまた、15年前のあの夜に関わった一人。
他の人以上に、心配してくれたはずだから。
「ごめんね、いっぱいお見舞いに来てくれて、お世話になったのに。ろくに連絡もしなくて……」
「気にしてない。仕方ないよ、大変な時期が続いたんだしさ」
相変わらず優しい。
この王子様ルックスでこの人当たりのよさ、しかもお医者様、って、アメリカではさぞや金髪美女に大人気だっただろうな。
昔も、家まで女の子が手作りクッキーやら手紙やら渡しに来てたっけ。
私も香ちゃんの家に遊びに行く時は、学くんに会うんじゃないかって毎回ドキドキしたりして。
甘酸っぱくも楽しかった初恋の記憶を思い出し、ふふ、って頬が緩んじゃった。
「香ちゃんから帰国したことは聞いてたよ。この病院で働くの?」
「いや、違う。今日は帰国の挨拶。この病院の外科に恩師が在籍しててね。今会って来たところなんだ」
へぇそうなんだ、と頷く私を、学くんがじっと見つめる。
「ねぇ茉莉ちゃん、その足じゃ移動も大変だろう。ちょうど僕も帰るし、家まで送っていくよ?」
パーフェクトなスマイル付きの提案にさすが王子って感心してしまったが、いやいやいかん、と我を取り戻す。
「ありがとう。気持ちは嬉しいんだけど私、今日は――」
「食事に誘うのはまた今度にした方がよさそうだね。あ、ちょうどいいや。今連絡先交換してもいい?」
「あ、うん。連絡先は教える、けど。あの今日は大丈夫なの。私、1人じゃなくて――」
「茉莉花」
ビクッと肩が跳ねた。