Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「クロードさんっ、お電話はもう終わったんですか?」
「茉莉花、そちらは?」
「あーええと、ほら前に教えたことあったでしょう? 香ちゃんのお兄さんで、幼馴染で、私の命の恩人の、藤堂学さん」
佇む彼の纏う空気に不穏なものを感じて、早口で説明してしまう私。
どうしたんだろ、仕事で何かトラブルでもあったのかな。
一方の学くんは、びっくりしたような顔でクロードさんをマジマジ見つめている。あまりのイケメンっぷりに驚いてるのかしら。うんうんわかる。
自分と同等かそれ以上のイケメンには、そうそう会ったことないだろうし。
そんな人が私と一緒にいて、どういうことだって混乱してるのかも――
「かがみ……」
ん? 今、なんて言ったの?
鏡? 空耳かな。
私はコホンと咳払い。
「学くん、彼は私の、だ、だだ、旦那様、です」
盛大に照れながら口にした私の肩を、クロードさんの大きな手が引き寄せる。
「茉莉花の夫のクロード・ベッカーです。妻からあなたの話は聞いてますよ。初めまして」
「あぁ……そっか、茉莉ちゃん結婚したんだってね。香から聞いたよ。おめでとう」
んん? 学くんもさっきより声が低い、かも?
疲れてるのかな?
「ありがとう学くん」
立ち上がった学くんが「藤堂学です。医者をしてます」と手を差し出し、2人は握手する。
こうしてみると、身長は若干クロードさんの方が高い、かな。
もちろんどちらも長身で美形だし、迫力満点には違いない。
眼福眼福、なんて見惚れていると、学くんがニコッと人懐こい笑みを浮かべた。
「つい先日、アメリカから帰国したばかりなんですよ。奥様とは積もる話もありますし、今度食事に誘いたいと思ってるんです。別に構いませんよね?」
「……えぇ、構いませんよ」
くぅ、即答かぁ。
ちょっとくらい、嫉妬してくれても……ハイ、すみません。余計なこと考えました。