Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

午後は警察署へ行き、別々に事情聴取を受けた。

警察っていうとどうしても15年前の事件を思い出してしまうし、あまり気は進まなかったのだけど、女性警察官が対応してくれたためか心配していたほど緊張はしなかった。

残念ながら課長については動機などまだ何も聞けなかったものの、クロードさんの一撃は正当防衛として認められるだろうとのこと。
ひとまずホッとした――まではよかった。

ところが!
大変だったのは、それから。

痛々しい包帯姿の私に同情してくれたんだと思う。
クロードさんが驚異の過保護っぷりを発揮してしまったんだ。

車椅子は病院に返してしまったからと、マンションの地下駐車場から部屋まではお姫様抱っこ。
私をリビングに座らせると、自分はスーツから着替える間も惜しんで夕食の準備、後片付けまで全部やってくれ、私には何もさせてくれない。
転ぶと大変だから一緒にお風呂に入るとまで言い出す始末で……。

「俺は服を脱がない。なんなら目隠しもしよう。それならいいだろ?」

ジョークかと思ったら、大真面目なカオしてるんだもの。
反応に困っちゃった。

「もっと危ないです! 絶対ダメ!」

昼間より随分痛みも引いてきたので、とどうにかバスルームから追い出した後でようやく、あれ、もったいなかったかもってちょっと後悔した。
もしかしたら、いい雰囲気になる絶好のチャンスだったかなぁ。

何しろベビードールの時だって、不能を疑うくらい全然顔色変わらなかった人だからな……全裸で一緒にお風呂、くらい攻めてもよかったかも……

ぼんやりと考えを巡らせ、なんとかシャワーだけ浴びた私。
パジャマに着替えてからひょこひょこと不格好に足を引きずって進み、上の空でバスルームのドアを開けた――

「よし、寝るぞ」

すかさず降って来たハスキーボイスに、ギョッと固まった。

「はぃいいっ!?」

スタンバイしてましたか!?
っていうくらいのタイミングで伸びてきた逞しい腕に、有無を言わさず抱き上げられた。また姫抱っこ! 

完全に油断していたため、いつも通りパジャマの下にブラはつけていない。
それだけでなんだか自分がとてつもなく無防備に感じて、どうしていいのかわからなくなる。

「ちょっクロードさん! 降ろしてください、歩けますっ! 重いですからっ」

「暴れると落とすぞ」
「うぅ……」

脅されて、仕方なく沈黙。
けれど、数秒後には向かう先がどこなのか気づき、心臓が再びバクンと跳ねた。

え、え、え?
ここれってどういう……こと!?

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