Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
同居を始めて以来、掃除以外の目的で入ったことはなかった彼のベッドルーム。
そこは、私に与えられた部屋とは対照的に、黒とグレーで統一されたシックな空間だった。
隣に書斎兼仕事部屋があるため、ここは本当に寝るだけの部屋、という感じらしく、家具はベッドのみというシンプルさだ。
抑え気味の間接照明のせいか、ほのかに感じる彼の香水のせいか、主役然と鎮座したキングサイズのベッドがやけに官能的に視界に映る。
いやいや、私の煩悩フィルターのせいに決まってるが。
ええと……どうして私は、ここに連れてこられたんでしょうか……?
全く考えが読めなくてびくびくしながら上目遣いに伺うと、バチっと視線が絡み、眦を緩めた彼に微笑まれる。
その眼差しのあまりの優しさに、きゅんとときめいてしまった――のも束の間。
「俺もシャワー浴びてくるから、先に寝ててくれ。待ってる必要はない」
ベッドへ降ろされて、瞬く間にアワアワと動揺が襲ってくる。
「私がここで、寝る、んですか? ええと、クロードさん、も?」
もつれる口を懸命に動かして聞けば、「あぁ、そうだが?」とごく冷静な返事。
えぇえええ?
どうしちゃったの、クロードさんっ?
2人の距離がもっと近づいたらいいのにな、とは考えてた。
考えてたけど!
いきなりが過ぎるでしょ!?
「あのっ私でしたら大丈夫ですよ? そりゃショックは受けましたけど、課長はもう捕まりましたし、――」
「今日のこと、だけじゃない」
「え?」
彼はわずかに眉を下げ、私の頭をポンポン軽く叩く。
「怖い夢を見るんだろう? 15年前の事件の夢。柊馬が心配していた。昨夜も、『一人にしないで』『怖いことが起こる』ってしがみついてきたな」