Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

「どどど……どうしよう……」

暗闇の中で、ギンギンに冴えた目を開いてつぶやく。

眠ってていいから、と言われたって、眠れるわけがない。

だって、隣に彼が寝るんでしょう?
いくらキングサイズのベッドとはいえ、絶対バレる、この胸の爆音。

昨夜はどうやって耐えたんだろう、って、あぁ酔っぱらってたんだ。

落ち着け。
落ち着け。

仮にも夫婦なんだし、一緒のベッドで寝るなんてごく普通のことだ。
今までの関係が、淡泊すぎただけで。

もしかしたら、ここで一気に一線を越える、なんてことも……あぁああどうしよう! もっと緊張してきた!

ギュッと目を閉じて、何度羊を数えても、いつの間にかクロードさんを数えてたりして、自分の阿保さ加減に呆れてしまう。

もう泣きたい……

こんなに意識してるのは、きっと私だけなのに。
クロードさんは、単純に私を心配して、よく眠れるようにって配慮してくれてるだけ。そういう人だもの。

そうよ、速水さんが彼女候補から外れたからと言って、他に誰もいないわけじゃない。あの助手席の女は?
もしかしたら、彼女とは結婚できない理由があって、私はただのカモフラ―ジュ妻で……

『君に夫がいるなんて、耐えられないよ』
『ごめんなさい、政略結婚で夫に愛はないの。愛してるのはあなただけよ、クロード。私こそ、あなたに奥さんがいるなんて嫉妬で気が狂いそう』
『周りも結婚しろとうるさいからな。彼女は独身批判を躱すための、カモフラージュ妻だよ。それなりにご機嫌だけはとっておかないとな』
『じゃあ、愛してるのは私だけ?』
『当たり前だろう。愛してるよ』
『あぁっクロード……!』


ぁあああああ……ズブズブとネガティブな妄想に嵌まってしまう自分にうんざりする。

一度はっきり聞いた方がいいのかな。
本当のことを話してくれるとは限らない、とはいえ。
もし、私の方がお邪魔虫だとしたら、


カチャ


静かに背後でドアが開き、廊下の明かりがぼんやりと室内に伸びた。


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