Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

「だからせめて母と2人、のんびり波に乗って、いろんな国を見てくれたらなって。海は世界中に繋がってるでしょう?」

「なるほどな、いい考えだ。きっとご両親も喜ぶだろう」

眦を下げて言った彼がごく自然に手を伸ばし、頭を撫でてくれる。
すべてを受け止めるように、温かく優しい手で。

……あぁまただ。この感じ。


――ほら、深呼吸してごらん。

――一回、二回、ほら、大きく吸って、吐いて、そう、上手だ。

不安も恐怖も、何もかも溶かしてくれたあの手……私を救ってくれた、王子様の手。

おかしい、よね?
なんで私、クロードさんに撫でられるたびに学くんのことを思い出しちゃうんだろう?

脳裏にハテナが浮かんだタイミングで、隣から「さぁお待たせ! お昼にしましょう」とおばあちゃんの声。疑惑は即効で思考の隅へと追いやられた。

「嬉しいっもうお腹ぺこぺこだったの」
「俺もだ」

笑顔を見合わせて腰を上げつつ、ふと考える。

学くんと言えば、彼も心配してくれてたし、もう大丈夫ってメッセージ送っておかないとな。
あの後連絡が来てIDの交換はできたものの、会うのは足が治ってから、ってことになってるから……

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