Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

それからおばあちゃんお手製のザ・おふくろの味をたっぷり堪能した私たちは、再び和室へ戻った。
おばあちゃんが、「アルバム見ない?」って誘ってくれたからだ。

「写真が残ってるんですか?」
火事で全部焼けたと思ってたみたいで、クロードさんは驚いてる。

「うちで撮った写真は残ってるんですよ。晴美が送ってくれたものもありますしね」
おばあちゃんが教えると、「そうでしたか」と彼も頷いた。

「昔は茉莉花たち、S市に住んでいたんだよな?」

「はい、そうです。昔、父は大学で研究者をしてたんですけど、出世競争に疲れて退職。放浪の旅に出てS市で母と出会い、定住することを選んだそうです」

S市のバーで飲んだくれていたお父さんを、常連客だったお母さんが介抱したのがきっかけらしい。
酔っぱらってダジャレを連発するお父さんに、自分がいなきゃこの人はダメになるって心配して、同情で結婚したとかしないとか……。

そんな話を紹介しながら、私は供養台に置かれたアルバムを手に取った。

時系列で古い順にまとめられたアルバム。
1枚目は……

「茉莉花は赤ちゃんの頃から可愛かったんだな」
「そうでしょう!? ほんとに天使みたいでねぇ」

「あぁこっちも可愛い。お遊戯会かな、天使の羽根が本物に見えてきますね」
「さすがわかってらっしゃるわ、そうなんですよ、本当に可愛くて! みんながまーちゃんの演技に釘付け! 子役オーディションに応募してみたら、なんて声もあったくらいで」
「なるほど、応募してたら今頃ハリウッドスターになれていたかもしれませんね」

“親バカ”ならぬ“祖母バカ”が止まらなくてノリノリのおばあちゃんに、大真面目に付き合うクロードさん。
口をはさむこともできず、居たたまれないまま適当に聞き流して居たら――つとおしゃべりが途絶えた。

「……この写真、後ろに写ってるのは茉莉花の家か?」

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