Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
低くなった声の調子に、顔を上げて写真を確認。
庭でバーベキューしてる時のヤツだ。
きっちり並んだ集合写真というわけじゃなく、お父さんとお母さんと私と柊馬がばらばらの場所からカメラに笑顔を向けている。
目いっぱい引きで撮っているせいか、背後の2階建ての家がよく見えた。
「そうです。火事で焼けちゃったけど」
「……大きな家だな」
「古いだけですよ。前は何かのお店だったみたい。そこを買って、父がDIYで改装したって聞いてます。まだ私が生まれる前ですけど」
1階部分は、お父さんが経営する学習塾に。
2階に私たち家族4人が暮らしていた。
昔の建物だからか、家の中も外も広くてゆとりがあって。
私と柊馬は庭で泥だらけになって遊んで、お母さんによく怒られていたっけ。
ただし今ではもう、その光景は私の頭の中で黒く塗りつぶされ、懐かしさや温かさとは無縁のものとなり果てているけれど。
なぜなら15年前の夜、私はあの家で見たから。
お父さんの命を奪った、犯人の――
「大丈夫か?」
躊躇いがちに前髪へと触れる手に気づき、ビクッと身体が揺れた。
「す、すみません、ぼーっとしてました」
「いや、辛いだろう。気づかなくて悪かった。もう止めようか」
気遣わし気に見つめられて、「いえっ平気です」と慌てて首を振る。
心配そうなおばあちゃんにも無理やり口角を上げて見せてから、アルバムへと再び向き合った。