Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「もちろんそれを全部鵜呑みにするわけじゃありませんが」と大塚さんが話を引き取る。
「タイミング的に合いすぎてますからね。お父様の事件に富田以外の真犯人がいた、という仮説をたててみたわけですよ」
富田以外の……真犯人……
膝の上で、きつく拳を握る。
止まっていた時間が動き出したような、予感がした。
「それで、宮原さんにお伺いしたかったのですが」
「はい、なんでも聞いてください」
お父さんを殺した犯人が、見つかるかもしれない。今度こそ。
前のめりになって、私は頷いた。
「……といっても、私、富田については何も知らないんですが」
「では、ここ最近富田からの接触、見知らぬ相手からでも構いませんが、不審な着信があったとか訪問を受けたとか、そういったことは全くなかった、ということですね?」
「えぇ、全く――あ」
小さなつぶやきを、2人は聞き逃さなかった。
「何か心当たりが?」
「いえ、あの……」
関係ないとは思うけど……と私は念のため、先月初め、何回か後をつけられているような気がしたことを伝えた。
もちろん、課長から受けたストーカー行為の一つだったかもしれないが、とその後の騒動も説明しておいた。
「そうお聞きになるってことは、富田が私に会いに来る可能性があったってことですか?」
「えぇ、被害者の家族に本当のことを伝えたい、と母親に言っていたそうです」
私の言葉を手帳に書き留めつつ池田さんが言うと、「あぁもう一つ」と横から大塚さん。
「各務蔵人という名前に心当たりはありませんか?」