Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「かがみくらと……さぁ、知らない、と思いますけど……」
ん? かがみ? あれ?
どこかで聞いたような気も……
えっと、気のせい?
曖昧に首をひねる私に、「そうですか」と2人は顔を見合わせる。
「実は富田は殺される前、“かがみ”という相手と電話で話しているところを目撃されてます。随分気安い口調で、会う約束をしているようだったとか。そこで、富田の過去の交友関係を洗って“かがみ”という人物を探してみたんです。そうしたら15年前の事件の資料に一人だけ、見つかりました」
「それが、各務蔵人?」
「えぇ。ご存知だと思いますが、富田は地元では知られた半グレのリーダー格で、主に10代の行き場のない少年少女、まぁ今でいうトー横キッズのような連中とも付き合っていた。各務もそうした少年の一人で、15年前に警察から富田の行方を聞かれている。それで記録に残っていたんです」
「もちろん、電話の相手の“かがみ”と、各務蔵人が同一人物かはわかりませんが――念のためこちらも見ていただけますか」と池田さんがテーブル越しに一枚の写真を差し出してきた。
「これ、は……」
どこだろう。高架下みたいなコンクリートに囲まれた場所。
10人ほどの男女が写ってる。
ど真ん中でピースしてるのが富田だ。
指名手配された時に写真が公開されたから、知ってる。
他の子は10代から20代前半くらいかな、と検討をつけつつ眺めていると、彼らの後方に1人だけ、ポーズを取ることもなくぽつりと佇む少年に目が留まった。
距離はあるものの、大人びた整った顔立ちだということは伝わってきて……
え、何、これ。
何、この既視感。
私、彼を知って……?
どくんっ……
池田さんの指が差していたのは、正にその子だった。