Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

7月下旬、新宿のバーで私とクロードさんは出会った。
ひょんなことから一緒に飲むことになって……

未だかつてお目にかかったことのない顔面偏差値最強のイケメン、加えて身に着けてるものもセレブっぽくて自信たっぷりなオーラが漂ってて。
だからなんとなく、傲慢で冷たい人かと思ってた。
あまり関わりたくないタイプ。

あの時は、その場から逃げ出したくてたまらなかったな。

ところが実際話をしてみると、意外にも普通というか、饒舌ではない分聞き上手なくらいで、そこまで居心地は悪くなかったのよね。
ついつい促されるままセクハラのことまで打ち明けたら、親身に受け止めてくれた上具体的なアドバイスをくれたりしたし。

もちろん、その日はそれだけ。
「送る」との申し出は、柊馬()と一緒に帰るからってお断り。
もらった連絡先は、社交辞令だと思い放置してた。

そうしたら、8月に入って“ブルームーン”でバッタリ再会。

――俺の携帯番号を手に入れて、連絡してこなかった女は初めてだ。

とかなんとか、また珍獣を眺める目で見られた。
そして、周りにいないタイプの女が目新しかったのか面白かったのか、再びほぼ無理やり隣の席をキープされてしまう。

これ以上彼に関わるのはいかがなものか、と頭のどこかで警戒しつつも、彼からもらったアドバイス――パワハラ発言の録音、社内メールやプライベートメッセージの保存、警告の仕方等――のおかげで、あれから課長のセクハラやパワハラ(問題行為)は大幅減少。
随分仕事がやりやすくなったことは確かだったから、お礼を言えるならいいかと、もう1回だけサシ飲みに同意したのだけど。

不思議なことにその後も、二度三度と偶然“ブルームーン”で顔を合わせることが続き、ごく自然に隣に座っておしゃべりするようになり……

なんとか緊張せずに話せるようになった頃、東京を案内してくれないかと頼まれた。

< 19 / 402 >

この作品をシェア

pagetop