Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

『あぁ、……ちゃんと起きられたかと思って。その、昨夜はちょっと……強引にいろいろ、してしまったから』

口調からも照れてることが伝わってきて、こっちも自然と頬が熱くなる。

「は、あの、大丈、夫です」

1時間前までの私なら、幸せで舞い上がっていただろう。
踊り出していたかもしれないな……

『話したいことがあると言ったのを覚えてるか?』

「あ、はい。そういえばそうでしたね、覚えてますよ」

『今夜も仕事が押しそうなんだが、できるだけ早く帰るようにするから。起きて待っていてくれるか?』

「……はい、わかりました」

感情を押し殺して返し、通話を終える。

見下ろせば……さっきの落下の衝撃のせいだろう。ディスプレイの真ん中にヒビが入っちゃってる。

待ち受け画面は、私とクロードさんのウェディング写真。
まるで私たちを引き裂くように入った不吉なヒビに、しゃがみこんだまま立ち上がれなくなってしまった。


ねぇクロードさん。
話って何?

富田のこと? 各務蔵人のこと?

それとも、私たちの結婚のこと?


本当は、私みたいな平凡女子のことなんか興味なかった?
好きな人が他にいるのに私と一緒に暮らさなきゃいけなくて、実はうんざりしてた?

私と一緒にいるのは、理由があるからで……
昨夜最後までシなかったのも、そのせい?


「っ……ふ、……」

戦慄く唇を両手で押さえて嗚咽を堪える――けど、あぁやっぱり無理そう。
みるみるぼやけ出す風景に観念した、その時だった。


「茉莉ちゃん?」

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