Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「あら、別に明日でもいいのよ? 1日くらい病院にあるものを借りればいいから。まーちゃんがこっちにいたら旦那様が困るでしょう?」
旦那様、というワードに、ぴくっと頬が引きつった。
「だ……大丈夫よ、彼仕事が忙しいし」
本音を言えば、ありがたいくらい。
彼の帰りを一人で待つのはしんどいだろうなって、心配してたところだし。
忙しくしてれば、余計なことを考えずに済むかも……。
ドッと蘇ってきた今日の記憶に表情を暗くしつつも、おばあちゃんに悟られるわけにはいかない。
私はなんとか口角を上げたのだった。
◇◇◇◇
「学くんごめんね、すぐに用意するから。座って待ってて。あ、この座布団使って? あ、何か飲む?」
おばあちゃんの家に上がると、すぐに和室へ。
お父さんたちへの挨拶もそこそこに、学くんに慌ただしく座布団を出した。
タクシーを使うつもりだったのに、乗り掛かった舟だから、って彼がここまで送ってくれたんだよね。
「気なんか使わなくていいから。ほら、早く準備してきたら?」
優しく促されて、「う、うん、ごめんね、ありがとう」ってペコリ。
なりゆきとはいえ、付き合わせちゃって本当に申し訳ないな。
また今度お礼しなくちゃ……
心の中でつぶやきながら、私はナースさんからもらった必要品リストを握り締めてバタバタとおばあちゃんの寝室へ。持って行くものをかき集め始めた。