Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「う、浮気って! 学くんに失礼だよ。モテモテの天才ドクターなのに。私なんて相手にするはずないでしょ」
「ぅわ、兄貴カワイソー」
「え? 香ちゃん何て言ったの?」
「んーん、別にー。あーあ、独り身はついにあたし一人かぁあ」
「香ちゃん、わたしもまだ独身だよ?」
「知依は彼氏いるでしょ。しかもあんたの相手もセレブだし!」
そうそう、そうだった。
知依ちゃんの彼氏は、勤務先である大手物流会社の副社長なんだよね。
「社内恋愛なんて素敵。憧れるなぁ」
随分前、たまたま出くわして紹介してもらったことがある。リムレス眼鏡がよく似合う、インテリっぽいイケメンだったっけ。
「社内は社内で、いろいろ面倒だけどねー。ま、わたしも彼も今は仕事頑張りたいし、結婚はまだまだ先だよ」
明るい口調とは裏腹に、知依ちゃんの視線はなぜか下降気味。
何かあったのかと足を止め、そちらへ身体を向けた時だった。
ドンっと誰かに肩がぶつかった。
「ちょっと、どこ見てんのよっ!」
「すみませんっ」
こんな人の多いところで立ち止まるべきじゃなかった、とすぐに謝ったんだけど――
「は? え……うっそ、宮原さん!?」