Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
え、クロードさん!? ほほ本物っ?
ブラックスーツをこれでもかとスマートに着こなしたその人は、何度瞬きしても間違いなく彼で。
信じられない思いで、息を呑む。
ウソ、え、仕事は……?
とっさにセカンドタワーの方を振り返るも、もしかして、と思いつく。
今は彼、シェルリーズに滞在してるのかもしれない。
ホテルならいろいろ便利だし、オフィスだって近いし、むしろここ以外考えられないじゃない。
答えにたどり着いた私は、タイミングの良さに高揚してしまった。
約2週間離れていただけなのに、2年も会えなかったみたいに、彼が恋しい。
あの低い美声が聞きたかった。
あの眼差しで見つめられたかった。
自分と彼を結ぶ因縁は、愚かにも頭から吹っ飛んでいた。
ほとんど本能で吸い寄せられるように、悠然と歩くその人へ近づこうとして。
「お帰りなさいませ」
恭しく助手席側のドアを開けているドアマンが視界の隅に掠め、微かな警鐘を聞いた気がして、ようやく足が止まった。
「ありがとう」
車内から可憐な声が答える。
艶やかな黒髪を揺らして現れたのは、ワンピーススーツの小柄な女性。
高橋さんだった。