Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

「今夜はてっきり茉莉花の再就職のお祝い会なんだとばっかり思ってた。まさかそんな話になるなんて」

ガシガシっとショートヘアをかき回し、呆然とした様子の香ちゃんが言う。

そりゃ驚くよね。
旦那様と兄妹でした、なんて告白したら。

「私も、しばらくは信じたくなくて、現実逃避してたかな。でもさ、だから結局、離婚することになってちょうどよかったのよ」

2人の動揺の反動か、私の方は却って落ち着きを取り戻しつつ、苦笑いを浮かべた口元へハイボールを運ぶ。

「ちょ、ちょっと待って。ご主人はどこまで知ってたの? 茉莉花ちゃんが妹だってことも知っててプロポーズしたってこと?」

「うん、知ってたと思う」
と私は静かに頷く。

「お父さんの事件が自分のせいだって言ってたしね。育ての親か、うちのお父さんか、どっちかから聞いたんじゃないかな。それで、真犯人から守るために、傍においてくれたんだと思う」

「え、ちょっと待ってよ。それってヤバくない!?」

ぎょぎょっと目を見開く2人に、私は再び落ち着いて、のジェスチャー。

「あのね、ぶっちゃけちゃうと、全然彼、私に手を出さなかったの。今になって思えば、そういうことだったのか、って感じだけどね」

自虐を込めて告白する。

キスとか、その他のあれやこれやは、私が無理やり迫ったようなものだし、彼としては不可抗力の部類だと思う。
彼の名誉のためにも、カウントしなくていいよね。

「そ、そうなんだ。それは……辛いね。旦那様のこと、好きなんでしょう?」

まるで自分のことみたいに目を潤ませる知依ちゃん。
その優しさに応えようと、私はなんとか口角を上げた。

「大丈夫。今はまだ辛いけど、いつかきっと、思い出にできると思うから。そのためにも、絶対真犯人を捕まえたいの」

語気を強めた私に、2人の表情が改まる。

「今までのことを総合的に考えて、推理してみたんだ――」

それから私は、自分の考えを披露した。

リーズニッポンの最上社長の(おそらく)妹が、クロードさんのお母さんなのではないか。
クロードさんを手に入れたかった最上社長が、畑中社長に協力を仰ぎ、お父さんへ接触したんじゃないか……

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