Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「……けど、じゃあどうしておじさんは殺されなくちゃならなかったの?」
「それは、きっとお父さんが居場所を教えなかったから」
「それだけで放火殺人までやるかなぁ」
あぁやっぱりか。
その部分、引っかかるよね。
3人一緒に、うーんと唸る。
と、そこへ。
「どうしたの、なんだか深刻そうだねぇ?」
「マスター!」
にこにこ顔のマスターが、お盆を手にやってくる。
美味しそうな匂いがこっちまで漂って……わ、ビーフシチューだ。
「え、私たちオーダーしてませんけど?」
「うんうん、大丈夫。試食してほしいだけ。僕の奢りだよ」
えぇ、なんか前もそう言って奢ってもらったような……
「いつもすみません」
と頭を下げる私をマスターは笑い飛ばす。
「いいのいいの、僕はオーナーだからね。一番偉いの。やりたい放題やっていいんだよ」
「えぇ~?」
「何それマスター」
ドッと3人で笑う。
ごく自然に笑えたことに、心の隅でホッとしていたら、マスターに顔を覗き込まれた。
「茉莉花ちゃん、痩せた?」
「えぇ? そうですか?」
「あ、わたしも思った、痩せたよ茉莉花ちゃん!」
「ダメだよ、ちゃんと食べなきゃ。ほら、この後ピザも持ってきてあげるから! ちょっと待ってて」
「え、いいですって! マスター! マスター!?」
くるりと身を翻し、いそいそバックヤードへ引っ込んでしまうマスターを唖然として見送る私。
そんなにヤバい見た目になってる? えぇ?
ぺたぺた自分の頬を触ってみる。
そりゃ、バレンタインからこっち、ゼリー飲料のお世話になってばかりだけど……
「ねぇ香ちゃん、私そんなに――」
「わかったぁあっ!!」