Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

結局その後はマスターも加わって話が弾んでしまい、食べて飲んで、イイ感じに酔っぱらってお開きに。

とりあえず囮作戦は後日、もう少し詳細を詰めることになった。

どこへどうやって噂を流すのか、
おびき出した後のことも考えて警察に連絡しておかなきゃ、って意見もあったし……

また連絡を取り合うことにして、香ちゃん、知依ちゃんへ別れを告げ、私は一人店を出た。

2人とも、お店でそれぞれの彼氏を待つんだって。

いいなぁ。
吹きつける風にぶるっと震えて、マフラーをきつく巻きなおす。

いつか私も……また、好きだって思える人と出会えるだろうか。
クロードさん以外に?

答えを探すように視線を上げ、ビルの谷間の黒い空へ朧な三日月を見つけた時だった。

滑るように後ろからやってきた黒塗りの外車が、私の隣でぴたりと停まった。

え? な何?

ヒヤリと背筋に冷たいものが走る。
まさか……

――私のことも同じように恐れていて、私の動向をすぐにキャッチできる位置で見張ってる可能性も……


自分の台詞が脳裏に再現されて、凍り付いたように立ち竦む。

嘘でしょ、こんな人通りもある繁華街で?
まさか、あるわけない。

そう思いつつも糊付けされたみたいに動けない私の前で、後部座席のスモーク貼りの窓が音もなく下がっていく――


「茉莉花、乗れ」


車内から響いたのは、ハスキーな低音。
よく知ってる声だった。

< 281 / 402 >

この作品をシェア

pagetop