Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

「クロードはね、最初あなたと同じように、指示役と実行犯は別にいるって考えてた。具体的には、指示役はリーズグループの総帥、フレデリック・リー氏、実行犯は彼から依頼を受けたリーズグループの社員じゃないかって思っていたのよ」

なるほど。
昨夜も、総帥自身が関わってるんじゃないか、って意見が出たな。
リーズメディカルとリーズニッポン、2社に指示を出せる人物ということならぴったり当てはまるもんね。

「でも相手は国家レベルの影響力を持つ巨大グループのトップでしょう。外側からいくら喚いたところで、罪を認めさせることは不可能だとわかっていたのよ。だから、グループ内部に入り込むことにした」

ここも、私の予想が当たってた。
彼は、犯人を捜すためにリーズグループ入りしたんだ。

「クロードは大学在学中からベッカー家のビジネスに関わってね、早々に頭角を現した。ベッカー氏が総帥の古い友人だったこともあって、ほどなく彼はシンガポールの総帥邸へ出入りが許され、総帥との直接の面談が実現することになったのよ」

日本を捨ててアメリカへ渡って、ベッカー家に養子入り……それ全部、事件解決のために……?

そんなのもう、一生を棒に振ったようなものじゃない。

彼自身は何も悪くないのに。
そこまで責任を感じさせてしまったなんて……。

ありがたいって気持ちより先に申し訳なくてたまらなくて、私は何も言えなくなってしまった。

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