Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
ぽかんと口が開いちゃった。
え、ええええ?
クロードさんが、総帥?
「っ、そ、それってあの、……」
アワアワワ、って上手く口が回らない。動転しすぎて。
だって、それの意味するところって……
現総帥よりも、クロードさんの方が継承順位が上、ってことじゃない?
懸命に思考回路をフル回転して、記憶を探る。
確か香ちゃんの説明では……
――うちの社長って、フレデリック総帥の甥っ子なのよ。弟の息子。
――総帥は独身、子どもはいないし兄弟はすでに亡くなっていて、後継者として年齢的に適している一番近い親族が李偉平社長……
総帥にはすでに亡くなった兄弟がいた。
弟の息子が、シェルリーズホテルの李偉平社長。
もし、兄弟、というのが文字通り兄と弟、だったら?
現総帥は3兄弟の真ん中、次男坊、だとしたら?
とすれば、順番通りに考えるなら、現総帥より継承順位の高い人がいるとすれば……
どくんどくんどくん……
心臓が壊れそう。
私はギュッと自分の身体を両腕で抱きしめた。
「現総帥の、お兄さん、なんですか? クロードさんの父親は」
高橋さんは沈黙する。
何より重い、肯定だった。
「それこそが、翠蘭様が血眼になってクロードを探した理由よ」
彼女の説明によると、先代総帥の3人の息子のうち、李翠蘭が産んだ子どもは長男の宇航一人。現総帥や弟は、愛人の子だったそう。
宇航氏は事故で亡くなっており、諦めかけたところへまさかの孫の登場。
しかも男児と知って、李太后は狂喜したとか……。
「どうして何年も経ってから、赤ちゃんの存在が明らかになったんでしょうか」
「んーどうもね、すれ違いの結果らしいわ。美里さんは宇航氏へ、1人で産むから許してほしいってこっそり手紙を送ってた。ところが宇航氏はそれを読む前に事故で亡くなってしまった。その手紙は、彼の自宅にずっと放置されていたのね。何年か経ってその家を取り壊すことになり、片づけをしている時に偶然発見されて、翠蘭様の手に渡った、ということみたい」