Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
はぁ……と、大きく息を吐き出し、熱っぽい頬に手をあてる。
なんてすごい展開になってしまったんだろう。
クロードさんの出生に、そんな複雑な事情があったなんて。
まるで映画のように現実味がない。
だけど、これは事実なんだ。
実際に起きたこと。生きている人間によって起きた出来事……
と、そこまで考えた時、ふいに疑問が沸いた。
さっき高橋さん、美里さんと宇航氏は不倫の関係だった、って言ったよね?
妻子がいるって。
ってことは、孫はもうすでにいたってことでしょう?
どうしてクロードさんが必要だったの?
そんなに出来がよくない孫だった、とか、病気がちだったとか?
あるいは女の子で、家は継げない古いルールがあったのか……
小さな疑問だったけどなんとなく気になって、高橋さんへ聞いてみようと視線を持ちあげた。
そこへ。
RRRRR……
鳴り出したのは、彼女の方のスマホだ。
「ちょっとだけ、ごめんなさいね」
私に断って、彼女は席を立つ。
「はい、えぇ、ここにいるわ。大丈夫、そっちはどう――……えぇっ!?」
突然の大声に、ビクッと反応しちゃった。
それくらい、切羽詰まった声音だったから。
どうしたんだろう、ってチラ見ると、彼女の眉間にはくっきりと深い皺が刻まれている。
「逃げられたって、どういうことよそれっ!」
え……逃げられ……!?
ギョッと凝視すると、彼女は私の視線を気にしたのか、聞こえないように足早に隣の部屋へ行ってしまった。