Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

「――ごめんなさい、緊急招集がかかったのよ。もう行かなくちゃ。あなたはゆっくり食事でもして寛いでいて。絶対にここからは出ないでね?」

電話を終えて戻って来た高橋さんは、それだけ言うとバタバタと出て行った。
その表情にはただならぬ緊張が漂っていて、私は何も言えずに、見送るしかなかった。

Xが逃げた、ってことなんだろうか。
どうなるんだろう。

クロードさんは大丈夫かな。

一人きりになった私は残された軽食に手を付ける気にもなれず、ソファの上で膝を抱えた。

早く会いたいよ、クロードさん。

私たち、兄妹じゃないんだって。

こんな状況なのに、その事実を喜んでしまう気持ちをどうすることもできずに、私は膝へと顔を埋めた。

……ううん、バカね。
忘れたの?
“結婚したのは間違いだった”、って言われたじゃない。
“出会うべきじゃなかった”とも。

私と結婚したのはお父さんの死に対する責任をとりたかったからで、私自身には何も興味はなかった、っていうことでしょ。

わかってる。
わかってるけど……

……はぁ。

まるで乱気流の中にいるみたいに上がったり下がったりするテンションに心臓は忙しなく打ち続けて、今にもショートしそう。

でも。
でも。

兄妹じゃないなら……好きでいても、いいよね?
傍にいたいなんてワガママ言わないから。

想うことくらいなら、許されるよね?

今はとにかく、あなたに会いたい。

無事で戻ってきてくれたら、それだけでいい。
逢いたいよ、クロードさん……

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